キセキノお勧めの一冊(第7回)
新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、テストの日程にも影響が出ています。
やっと定期テストが行われましたが、今年度初のテストとなった今回。果たして生徒たちはどんな成果を残せたでしょう。
今回の失敗を戒めて次に生かしましょう。
さて、そんなところで今回はキセキノ講師牧野からの一冊。
「破戒」(著:島崎藤村)です。
島崎藤村の作品として有名なこの一作。
キセキノにも「まんがで読破シリーズ」の一冊として置いてあります。
時は明治時代。四民平等によって誰もが同等の身分として扱われる中でも人々の中にある差別意識は消えず、特に「穢多(えた)」と呼ばれる身分の方々はその素性がわかればどんな立場にいる人物でも途端に居場所を失ってしまう。そんな恐ろしい環境の中で必死に素性を隠して生きていました。
主人公の丑松はそんな「穢多」出身の若者。父からの戒めを受け、必死に自分が「穢多」であることを隠して教員の仕事を続けていました。
しかし取り巻く環境が徐々に彼を追い詰め、多くの場面で自分が「穢多」であることに悩んでいきます。
友、理解者に恵まれてもそれを打ち明けられない苦しみ。知られれば今の仕事も地位も信用も何もかもを失う恐怖。社会の中に根強く残る差別との戦いについて深く考えるできる一作です。
現在も部落差別として残る問題。しかしこの作品が教えてくれることはそれ以外にもあります。
「自分が○○である」と打ち明けることができず、悩む人はどれほど多くいるでしょう。昨今ならばコロナに感染した、東京から帰って来た。それだけで差別的な扱いをされたというニュースが報道されていたのは記憶に新しいことでしょう。
「差別」という言葉がとても繊細な問題となっている今の世の中だからこそ、一度読んでみて欲しい作品だと思います。
0コメント